今東光

<作家紹介>

 1898(明治31年)横浜市に生まれ、関西学院中等部を中退し上京しました。二十歳のころ東大生だった川端康成や菊池寛などと知り合い、第六次『新思潮』発刊に参加、新鋭作家として活躍していましたが、菊池寛と対立して同派を離脱、プロレタリア作家同盟にはいりました。
 しかし、思うところあって1930年(昭和5年)出家剃髪して僧侶となり、暫くは作家活動を休止していました。
 第二次世界大戦末期、東京都渋谷穏田に住んでいましたが空襲で家が焼失、当時調布の多摩川べりの昭和鍛工という軍需工場の付属青年学校講師をしていましたので、通勤に便利な調布市飛田給に引っ越してきたのです。現在の飛田給一丁目十五番地あたりです。
 先妻とは戦時中に離婚していましたので、1946(昭和21)年この家で蜂谷きよと再婚、作家活動を再開しました。
 1951(昭和26)年大阪・八尾の天台院に住み移るまで5年余りの間に、この家で五十余の長短編を発表しました。
  そののち水間寺住職、中尊寺貫主、参議院議員と多方面で活躍、作家としても「お吟さま」(直木賞)など話題作を発表して流行作家になりましたが、1977(昭和52)年癌で亡くなりました。享年七十九歳でした。  (久米)