五万石

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 日活撮影所が最盛期の時期に、石原裕次郎がよく利用した居酒屋です。
 現在は閉店し、その跡地は民家の住宅となっています。

<お店の現況>

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 京王線布田駅から布田南通りを多摩川沿いの日活撮影所に向って歩き、椿地蔵を過ぎてなだらかな下り道を歩いていると、左手の角に明るい茶色が目立つお店を見つけることができます。
 ここが、日活撮影所全盛期に日本映画を代表するスターの石原裕次郎がよく利用した居酒屋の五万石です。お店は現在夜だけの営業で、店内はカウンタ席が10人程度、テーブル席が30人程度は入れるほどの広さがあります。店内には、日活撮影所一同の銘の入った木彫りの壁掛け?が飾られていますが、残念ながら、それ以外にサインや色紙など当時の裕次郎の思い出につながるものは残っていません。そのかわり、店主の奥村一雄さんが当時の思い出を話してくださいます。

<奥村一雄さんの話>

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 五万石は戦後に日活撮影所が開設された翌年の1955年に開業しました。当時、お店の回りは田んぼばかりで、お店の広さも現在の半分程度でした。前には小川があり、湧き水が流れていました。戦前のこのあたりは公爵や男爵の別荘があり、その小川で鵜飼遊びをやっていたということを聞いています。当時は、昼は定食屋、夜は居酒屋をやっていました。定食は30~50円程度で、もりそばは20円程度でした。
 裕次郎さんは、当時はでこぼこ道だった前の道をアメ車で店に来ていました。裕次郎さんが店に入ってくるだけで、周りが明るくなる、そのようなオーラがありました。彼は昼間でももっぱらビールやお酒を飲んでいました。つまみは卵焼き、つけもの、のりの類でした。彼は一人でもよく来ましたが、一緒に連れてきた俳優さんとしては、沢たまき、浅丘ルリ子、吉永小百合、松田優作、渡哲也、などが思い出されます。北原三枝は一緒に来たことはありませんでした。
 裕次郎さんの支払いはつけでした。月末には支払いに訪れ、ロケなどで来られないときにはことわりの手紙をくれました。その手紙など、裕次郎さんの記念につながるものはいくつか持っていたのですが、あるテレビ局の取材で貸し出したところ、返却されず行方知れずになってしまいました。
 調布が「東洋のハリウッド」と呼ばれたのは、単に日活や大映の撮影所があったからではありません。撮影所が昼も夜も24時間使用されて、撮影所の周囲が真夜中でも不夜城のように明るかったからです。
 *調査のきっかけ
 『読売新聞(2004年12月10日)武蔵野版』の「映画の街3」の記事

基本情報

所在地 調布市 国領町6-10-5
問い合わせ: 調布市立中央図書館 地域情報化担当
042-441-6181
作成年月 2006年1月
更新年月 2017年2月
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